「おじさん」がうらやましいと言ったらおじさんに怒られた
「おじさん」という状態がうらやましい。
想像してほしい。
30歳の女が一人で居酒屋に入るところを。
慣れ親しんだ店でない限り、お店の人にも客にもある程度警戒される。
男性に声をかけられて面倒な展開が待っていたりする。二度とその店に行けなくなったりする。
放っておいて欲しい。
ご飯を作る気が起きなくて、ラーメンやら定食やらをがっつり食べる気分じゃないときだってある。
軽く飲んで軽くつまんでしたい気分のときもある。
もしくは一人で旅に出るところを想像してほしい。
旅館に泊まろうとすると、自殺する気なのではと宿泊を断られることがある。
一人旅が好きだというと寂しいねとか、変わってるねという評価を受ける。
ユースホステルみたいところに泊まると宿の人になぜわざわざこの宿に…お金ないの?と心配される。
放っておいて欲しい。
一人で泊まるには、美味しいご飯を部屋で食べられる旅館が最適なんだ。まだ人生諦めてないから死んだりしないから。
一人旅は決めた予定を急に変えたりしても誰にも怒られないから気楽なんだ。友達がいないんじゃなくて好きでやってるんだ。
これを「おじさん」に置き換えてほしい。
一人で居酒屋に入ってもなんの違和感もない。
むしろ居酒屋のカウンターのデフォルトは一人呑みのおじさんだ。
一人で旅に出ても、大きなリュックを背負って歩いていても、大きな疑問は抱かないと思うんだ。
おじさんは神出鬼没だ。
なんなら、旅してるおじさんはかっこよく見えちゃったりもする。
とにかくおじさんは、なにしても「ああ、おじさんだもんね。」で済む。ような気がする。
そんな話をしたら、おじさんに怒られた。
もちろん偏見もあると思う。
そもそもそんなにお前のこと見てないよという意見もごもっともだ。
でもね、30歳の女一人に対する視線と、おじさんに対する視線はやっぱり違うでしょう?
いいなぁ、「おじさん」。
1週間くらいやってみたい、「おじさん」。